「どんどん痩せていく…」もしかして深刻な病気かも?急激に体重が減少した時注意したいこと|医師解説


予想以上の体重減少には、大腸を含む消化器系のがんが疑われます。生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因や注意したいことなどについて、医師が解説します。
「どんどん痩せていく…」もしかして大腸がん?
一般的に、がんになると、「悪液質」という状態になり、食欲が減退して体重減少が起こりやすくなります。
がん悪液質は、がんの種類によって異なりますが、進行がんの患者さんの50~80%にみられるといわれています。
一般的に、がん悪液質で自覚できる主な症状として「食欲不振(食欲低下)」と「体重の減少」があります。
がん悪液質は、がんの進行に伴って出現する、筋肉量の持続的な減少を特徴とする状態です。
どんどん痩せていく場合には、大腸がんの可能性があります。
大腸がんに伴って、体重減少すると、栄養不足に直結し、体に必要な栄養が摂取できないと、元気を失い、体力が低下していきます。
大腸がんが進行すると食事の通過や栄養の吸収が悪くなり、体重減少を引き起こす原因のひとつとなりますし、進行した大腸がんは、正常な体の組織よりも多くの栄養を横取りして体重減少を起こすことがあります。
また、ダイエット中の体重減少は、大腸がんなど悪性腫瘍の発見が遅れる可能性があり、予想以上に体重が減少する場合は要注意です。
体重減少には、食欲不振、腹痛、悪心・嘔吐(おうと)などの随伴症状がしばしば見られて、このようなケースは大腸を含む消化器系のがんが最も疑われます。
したがって、理由もなく体重が1カ月間に1キロ以上減ることが3カ月以上続く場合は、できるだけ早く病院を受診することを強く勧めます。

大腸がんとは?
大腸がんについては、年齢的に30代前半から罹患率が増えていき、高齢になるほど多く発症します。
大腸がんは、その名の通り大腸(結腸・直腸)に発生するがんです。
腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生する種類とがあります。
日本人では、統計的にS状結腸と直腸にがん病変ができやすいといわれています。
大腸の粘膜に形成されたがん病変は、進行すれば大腸の壁に深く侵入し、腹膜播種を引き起こしたり、リンパ液や血液の流れに乗って所属リンパ節、あるいは肝臓や肺などの他臓器に転移したりします。
早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。
大腸がんにおける典型的な症状としては、下記が挙げられます。
- 血便(便に血が混じる)
- 下血(腸からの出血により赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する)
- 下痢と便秘の繰り返し
- 便が細くなる
- 便が残る感じがする
- おなかが張る
- 腹痛
- 貧血
- 体重減少など
生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因としては、日々の運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒などが考えられています。
また、大腸がんの家族歴がある方はリスクが増加すると言われており、特に潰瘍性大腸炎を長期間患うことによって、大腸がんの発症リスクを高めることが分かっています。
まとめ
どんどん痩せて、体重がみるみる減少していく場合には、がん悪液質による体重減少を疑います。
特に、「半年で5Kg以上痩せてしまった(体重5%以上の減少)」、「腹痛や血便などの腹部症状」が認められる際には、大腸がんの可能性もありますので、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。
特に、消化管内視鏡検査、腹部超音波検査、CTやMRIなどの画像検査を必要に応じて速やかに行える医療機関を選択することが、大腸がんをできるだけ早く発見するうえで重要です。
心配であれば、消化器内科専門医やがん診療連携拠点病院など専門医療機関を受診して相談しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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